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地方の時代・青森県(故郷に元気を) 八木橋支部長論文 ダイジェスト版
 投稿日時: 2016-11-22 (574 ヒット)
      地方の時代・青森県(故郷に元気を)・・ダイジェスト版
 
                   日本技術士会東北本部青森県支部長
                    八橋 実(前企画委員長)
 
1. はじめに
  平成27年8月に本県の未来を変える挑戦の中で「県総合戦略と長期人口ビジョン」が策定され地方創生計画としている。
 県の施策は、当面2020年までの5年間での数値目標を含む具体施策内容になっているが、今回、青森県支部の平成27年度企画事業の一環として、技術士と地域との関わりについて考える活動に係る県市町村の地域活性化について、技術士が考える「地方の時代・青森県」とし、本県の中核都市部と農村部の活性化のため若者の定住化に着目して、現状の把握と施策の方向性について検討することにしたものである。
 日本技術士会東北本部青森県支部(以下、青森県支部)がこの課題に関心を持つのは、地域の中で貢献する技術士の必要性を感ずるからであり、また、地域の活性化なくして技術士の貢献の場が総じて生じてこないと考えるからである。
 
2. 地方の時代
 国の基本は、地方の状況によって左右されることが今後も益々増えてくる。労働者の首都への供給や食料の供給という都市が最低限必要なものを地方が全て持っているからである。
 こうした中で、本県の人口減少のスピードが極端に速く、特に社会減少が平成25年実績で6,100人に及ぶ状況になっていて、余りに転出者が多すぎる状況がある。
 本県としては、この人口流出を極力抑える必要があり、その対策が急務である。
青森県支部では、こうした本県の人口流出が雇用と地域の魅力に大きく関連していると考え、この点から検討してみることにした。また、この内容は具体施策展開に当たって情報の収集や解析評価・調査や計画・設計などの施策立案に必要な細部まで、私共、技術士が貢献できる分野である。
   
(1)地方の現状
 県内市町村の旧繁華街を歩くと、シャッターが虫食い状に点在したり、シャッターが閉まっている方が多い状況に何か遣りきれない感情が起きてくる。以前に中心市街地活性化事業等を実施したが、多くの場合人が旧中心市街地に戻ってこない状況になってしまっている場合が多い。
 町の郊外には、食品・衣料・電化製品・日用雑貨機械品などの大型店舗が広い無料駐車場を中心に建てられ、更にその周辺には中央資本の都市型食品店やコンビニ等が取り囲んでいる。
 原因としては、主に生活様式の変化とそれに伴う車社会の産物である。それだけ地方の生活レベルが上がったと思えば納得せざるを得ないが、地元地域住民としては、商店街が消えて行くのも割り切れない思いがある。既に旧市街には人がいないが、郊外のショッピングモールには人がいる。この状況が定着してしまっている。
 地方としては、活性化するとは何処の何をどこまでするのかまで考え込まなければならない状況になった。
 同じことは、農村の中山間地にも言える。農業従事者の高齢化と後継者不足のほか、農業の大規模化は、山間地形のため効率が悪く生産性が低いなどの状況から難しい。
(2)地方の活性化
 バブル以降の地方の低迷により、「町・村起こし」や「地方再生」などの施策展開を国の後押しで進めた経緯がある。しかし、思うような成果が出ない状況で今日に至っていると感じている。
 活性化すべき地域を大別して本県市町村の地域区分でみると、
・一つには商店街を含む中心市街地であり、それも対象は中核都市の旧中心市街地になる。
・もう一つは、中心市街地から離れた農山漁村地域であり、中核都市周辺を含む町村自体も対象となるような、所謂、農村地域である。
 ここでは中心市街地を魅力ある街にすることや農村地域の雇用創出により活性化する施策を行うなどの方向性を検討する。         
 
3. 中心市街地の活性化
(1)中心市街地の現状と課題
 平成10年「中心市街地活性化法」平成12年「大規模小売店法」「都市計画法の一部改正」などの
「街づくり三法」により、各市町村が「中心市街地活性化基本計画」を策定したが、事業着手率22%,
活性化に効果があったと判定された市町村は、6%に止まっている。(参1)
  街づくり三法で成果が少なかった理由は、
 ①事前事業効果の評価がなされていないか、実態を軽視したものになっていた
 ②都市施設や公共施設を郊外に設置するなどの逆効果が見られ、縦割り行政の
  弊害の存在
 ③住民の理解不足や無関心
 ここで、最も重要なことは、住民の意識である。
 大型店の出店は消費者ニーズに基づいているため、住民にとって利便性が高く、地域の雇用にも貢献しているが、大きな欠点は地域のコミュニティに与える影響である。従来の地域で循環していた経済システムの崩壊に繋がるからである。

 よって、必要要件として活性化施策の選択がコミュニティの主体である住民によってなされことが必要であり、その協力なくして成功は困難ないことから、住民参加での活性化計画が重要となる。
 
 次に、中心市街地の衰退の主な原因になっているのが核となる商店街の集客力の低下である。中心市街地の商店街は、旧来において地域社会との結びつきが強く、地域社会と商店街は共に支え合う共存の関係があった。
 衰退の原因は、人の流れが郊外に向いてしまったことが大きい。この状況が徐々に進行し、廃業による空き地や開かずのシャッターが多くなるなどの元気のない寂しい空間になり、益々人が集まらない状況が生じている。
 よって、中心市街地活性化は核となる商店街が魅力ある空間を取り戻すことが必要条件である。
 
 更に、中心市街地の空洞化の問題は、海外事例として米国では1960年代に既にモータリゼイションによる大規模集約型店舗で中心市街地の人の流れが激減し、その対策がなされていて、主に自家用車の中心市街地乗り入れ排除と歩道に花や緑の空間化を行って環境改善を行っている。(参1)
 我が国の成功事例でも、新たな区間に路面電車を走らせ、人が歩いて市街地に入るようにしていて、車の流れではなく人の流れを創出することに腐心し、その中で、地域の特徴を生かして、コンパクトな区域で楽しめる空間を作っている。(参2)  
 欧米では「歴史的に中心の不明確な都市、顔のない街は発展しない」とする教訓があり、中心市街地の商店街などを地域社会の共有財産と考えないとモータリゼイション社会では、街は徐々に活気が失われて行くようになるとしている。
以上から言えることは、中心市街地に人を呼び込むには、施策要件として一般車を規制又は排除することが主な対策となっている。
 
(2)中心市街地の活性化
 中心市街地の活性化がなぜ必要かについては多くの捉え方があると思うが、「顔のない街は廃れる」の言葉が物語っていると感じる。即ち、活気のないことに通じ、街の魅力の喪失による街への愛着心が無くなり、相俟って、雇用の減少とそれに伴う若者の流出が子供の減少にまで影響して来るスパイラル状の衰退モードを生む可能性があるためである。
 その中で中心市街地の活性化には、現状を踏まえて以下の課題について検討する必要がある。
 ①住民主導の活性化が必要 ②核となる商店街の活性化 ③一般車の中心市街
  地乗り入れ規制
 
 1)住民主導(参加)による活性化
  中心市街地の活性化は、消費者である住民の問題意識から来る提言と、その 
 結果からの住民の参画意識を作りだして、中心市街地関係者に示すことが効果
 的であると考える。
  中心市街地をどのような街にして行くのかの基本から始めて、その中で商店
 街などを含めた活性化案を住民に話合ってもらい、それを官民共同で実現に努
 力して行く。所謂、住民参加(以下PI)手法の導入を行う。
  また、PIの進め方の中で地域の意見集約やワークショップの開催にはキー
 パーソンとしての各地区のリーダーの存在が重要であり、事前のリーダー育成
 と発掘が必要である。
 2)商店街の活性化
  中心商店街の活性化は、先ず商店街が団結して改革する意思を示さなけれ
 ば、地元住民の消費者回帰は困難であり、行政もこれまで以上の更なる投資に
 は、商店街の連帯と協調意識がなければ難しいものと考える。
  以上から考えられる具体の案としては、
  ①商業者は結束して多様な業種の店舗にして消費者ニーズに対応すると共に
  イベントなどの賑わい空間を作り出す。
  ②商業者は、地域住民に呼びかけ(行政も支援)商店街の活性化について
  ワークショップを行うよう呼び掛ける。この活動が住民のモチベーションを
  上げることが出来ると共に消費者帰りの可能性を生みだす。
  ③PIの結果、必要に応じ都市計画・道路・河川などの環境基盤整備の要望
  も検討する。
  ④同様に、交通関係機関と中心市街地の交通規制や歩行者優先について検討
  する。
  以上の施策は、スピード感に欠けるきらいがあるが、抜本的具体案を打ち出
 すことが困難な現状では、住民との連携を主体に進めることが最良案と考え
 る。
 3)一般車の中心市街地乗り入れ規制
  本県では、大都市のような交通網が無いため、自家用自動車が移動の手段に
 なっていて一人一台近い普及状況にある。この基本条件は動かしがたいものが
 あり、このことを踏まえた活性化施策でなければならない。
  その中で、中心市街地を活性化させるために人の流れを戻すには、以下の施
 策が考えられる。
  ①中心商店街が面する道路を規制して「車の使いにくい空間」を創出する。
   具体的には、土曜日曜は、交通を止めるか又は片側1車線道路とし、反対
   の車線は歩行者に開放する。制限スピードも20~30kmに制限すると共に
   車歩道信号を停止する。
  ②車が入りにくい状態になったが、歩行者が利用する交通機関が必要にな 
   る。よって、格安又は無料のシャトルバスを主要地区間で数コース設けて
   巡回させる。
  ③歩道の電線地中化やセットバックなどを積極的に採用して、出来るだけ広
   い歩道を確保すると共にバリアフリーを実施する。また、オープンカフェ
   やイベントなどを実施する。店先はデザイン化を進めて若者や高齢者が
   「のんびりできる空間」を創出する。
  以上の施策を実施する一方で
  ・新たな中規模店を中心商店街に誘致する ・大型店舗の設置計画を厳格に 
   して数を抑える
  ・公共建物や公益性の高い建物を誘致する  
 などとの併行した活動が必要である。
  以上の住民参画による活性化策を行うことで、魅力のある中心市街地を復活
 させ、ひいては、雇用を創出する。
 
4. 農村地域の活性化
  農村地域の活性化は、これまでも多くの営農政策などの施策展開がなされて
 来ている中で、国のテンポの速い施策転換や農業従事者の高齢化・後継者の不
 在などの基本的な課題を含み、単純には施策の方向付けすることは出来ないと
 理解している。しかし、基本的には雇用が人の流出を留め、人を集めることに
 繋がるとするかなり狭い範囲に絞って検討することにした。更に、ここでは農
 村地域の活性化を住民協働型地域づくりを基本として考え、そこから起業化に
 ついて検討する。
  なお、本県の大部分がこの地域に該当する。
(1) 農村地域の住民協働型地域づくり
  ここでは従来の学識者や専門家による委員会に任せるのではなく、行政側計
 画でもない、小中学生も含めた住民のアイデアの掘り起こしの発想を基本に置
 いたものにした。このことが、住民との一体感を持つことが出来、一過性に留
 まらない継続性が出てくると考えるからである。所謂、住民協働型地域づくり
 である。     
 1)関係者全ての必要性の理解
  地域活性化が何故必要かなど、協働の基本は、住民が的確な情報を持ち政策
 判断について自治体と共に考え情報を共有化することが必要である。
 2)住民による活性化要素の発掘
  活性化の必要な内容を発掘する方法として、住民からのアンケート・市町村
 ホームページによるパブリックコメントの他、町内会組織を活用した意見徴
 収、小中高生の学校からの意見徴収などが考えられる。
  現状で考えられる活性化の要素として、
  ①地域外による活性化(地域の雇用に貢献度大)
  イ、地場産品を活用したコミュニティビジネス
  これまで地域内の生活の中で、何気なく使っていたモノや食べていた食材な 
  ど、他所にはあまり見かけない資源を活用して、地域外に積極的に供給する
  ことを基本とした起業化を行う
  ロ、ここだけ資源の観光化
  自然・景観・歴史文化・芸術・食材・ゆったりした住民気質などがある
  ②地域内の活性化(住みよい環境からの活性化)
   地域住民が日頃感じていることから、住民間で出来ること・行政へ要望す
   るものを捜す。
   特に困っていることや不足しているものを満たす内容が挙げられる。
 3)協働のパートナー
     市民協働では、一緒に組んで施策を遂行する相手が必要になる。即ち、ある
  程度の専門性を有するパートナーである。
  ①NPO(特定非営利活動団体)
  ②都市型企業定年者やシニアの専門技能者・技術士などの人材
  ③地元大学や民間企業などの協力グループ
  これに加えて、特に地域に密着して困っていることや不足していることの対
 策では、協働のパートナーとして行政が加わる。
  また、本県で地場産品を生かした起業を行う場合は、資金援助を必要とする
 ケースが多く、このため、住民とNPO・企業・特定個人と行政の三者の協働
 もある。
  協働する場合に住民の中にもリーダーが必要であり、その資質が施策成功の
 成否に反映されることから、日頃よりリーダーの育成が求められている。
  住民に地域活性化の意欲を持たせた事例では、住民からNPOに街の振興計
 画を委託した際に、その間の会議などに参加して課題の抽出や処理法などを見
 て学び、委託終了後の街の活性化事業に多くのリーダーが生まれ種々の取り組
 みを可能にしている。
 4)地域活性化の成功要因(参5)
   これまでの実績から、以下の成功要因があるとしている。
  ①街づくりの目標が明確  ②意識が高いリーダーがいる  ③女性の参加 
   意識が高い ④首長の意識が高くリーダシップが高い  ⑤行政側が良く
   勉強している ⑥オープンな市民討論の場がある  ⑦発想が良い       
  ⑧支援体制がある ⑨パートナーシップが確立している   ⑩歴史文化に
   こだわり有り ⑪経営感覚のある戦略家がいる  ⑫夢があり子供や高齢
   者に配慮している ⑬意識改革度高く参加意欲が高い
  以上が、市民協働による地域活性化の概要であるが、我々技術士も地域に
 入ってパートナーとして地域に貢献出来ることから、積極的な参画活動を検討
 すべきと考える。
 
(3)コミュニティ・ビジネス型開発(以下CB型開発)による雇用の創出
  CB型開発は、大都市から遠い地方で地元の資源を活用して、小規模である
 が収益が出るビジネスを展開して行くものである。雇用があれば、Uターン・
 Iターンによって都市で経験を積んだ若者や中年が地元に帰り、故郷が活躍す
 る場に変わり得る。
 1)CB型開発の課題と対応
  CBは全般に収益性が低く、以下の問題がある。
  ・事業運営上の合理性に欠け、長期ビジョンが立てられない
  ・独善性が強く、外部志向性が弱く、自己満足性に終始する傾向がある
  などで、起業時から充分なニーズを探っていない状況がある。(参2)
  この状況を打開するには、外部の組織(NPO)や特定の個人、行政などと
 の連携が必要になり、第三者評価による軌道修正を可能とする必要がある。
 
  以上から、本県地域の雇用を強力に促進するCB型開発のタイプは、他の企
 業と競合しながら外に向かって活動する起業であり、外部組織・特定個人や行
 政をパートナーとするチェックシステムを有した継続性の高いCBを行う必要
 がある。
 2)成功率の高い食品関連産業による差別化
  食品関連産業は、わが国独特の食文化が介在していることから、裾野を広げ
 得ると考えている。
  地元で簡単に手に入る「モノ」を加工し、付加価値を付けて「地産地商」ビ
 ジネスを軌道に乗せている。付加価値を付けるとは、即ち「差別化」することに
 他ならない。この差別化が更に発展して、時間を掛けて継続させてブランド化
 に結び付けて行く。所謂、他が真似のできない商品にまで押し上げることを目
 指すべきである。
3)コミュニティ・ビジネスの進め方の要点
 ①長期視点に立った施策
  長期の雇用を得るには、華やかなイベントやスポット観光などの一過性施策 
 では雇用に限界が出てくる。よほどの観光遺産があるなら別であるが、よっ
 て、地域の特産などの資源を生かした起業の方が継続・安定性のある雇用に適
 すると考える。
 ②強い危機感と故郷に対する熱い思いがあるキーパーソンの存在
  厳しい経営環境の中で会社を設立し、経営を軌道に乗せるには強力なリーダ
 シップと長期間継続して経営に当たる人材が必要である。
  キーパーソンの特徴として、経営判断が的確で迅速・地域内での人の繋がり
 があり顔の広い人で、更に、地域以外の情報収集や発信に積極的で、情報の活
 用能力に長けている人である。殆どが一度地域外に出た経験がある「井の中の
 蛙」でない人であり、他所との比較が出来る人である。
 ③第三セクタ方式による会社設立と自立した経営
  過疎地での会社設立は、非常に困難で公的な支援が必要になる。ただし、出
 来るだけ少ない支援に留めて「金は出すが口は出さない」を実行するために自 
 治体からの出向や転職を必ず避けるようにする。このように、経営は自立した
 ものにする必要がある。
 ④身の丈に合った経営規模と設備投資
  現状の苦しい財政運営を強いられている自治体に、出来得る支援範囲を超え
 ないようなシステム作りが必要である。地元企業を立ち上げる際には、古い校
 舎などの既存の施設を活用するなどして、施設整備に金を掛けないことが大切
 である。
   先ずは、商品開発などのビジネスを先行させて、軌道に乗ってから少しず
 つ施設を整備することであり、事業を進めて行く過程で必要に応じて補助金を
 活用する姿勢が良いと考える。
 ⑤地域資源を活用した6次産業化による「地産地商」ビジネス
  伝統的な特産品がそのまま売れる可能性は低く、消費者ニーズやアピールに
 より加工し改良している例が殆どである。また、ネーミングやラッピングに一
 工夫したりしている。
  メーカー製品との差別化のため、手作り・無添加・安全安心な製品であるこ
 とをアピールする。価格が多少高めでも安全安心な自然食品などに魅力が存在
 する。
 ⑥マスメディアを活用した大都市圏への広告・販売促進
  大都市圏に売り込むことは経営上必須となるが、宣伝費は無いに等しいか
 ら、地域貢献型の企業商品として「新しさ」「新鮮さ」に注目した取材などを通
 じてテレビ放映や新聞・雑誌などに掲載されるように努力する。また、イン
 ターネットの活用も大切である。
 ⑦高齢者・女性・Uターン者を活用する人材戦略
  コミュニティ・ビジネス開発の雇用創出は企業誘致か起業しかないので、多
 くは起業するしかない。第三セクタ方式の小さな会社から初めるが、経営を支
 える人材が必要である。若者が殆ど居ない状況では、高齢者や女性の活用しか
 ないが、最近の高齢者は元気な人が多く現役で働ける人が多い。
  また、ある程度軌道に乗ればUターンやIターンの若者も含め徐々に採用を
 増やして行ける。大都市圏では若者が多いため、若い人の感性が大切で商品開
 発には欠かせない。
   
5、地方創生と技術士
 機関誌「技術士」の2015年12月号に「産学官と技術士の共同セミナー」(鳥取)が紹介されている。この中で現在進行中の「地方創生」は、地域の課題解決の知恵比べであり、高度な経験を生かした課題解決する専門家の技術士による地域固有の課題解決の活躍が期待される。と内閣府特命大臣が基調講演で述べている。 技術士の専門能力を含む社会的知見に期待していることが窺える。
 技術士制度が、昭和32年法制定されコンサルティングエンジニア活動を通して地域産業を主体に貢献しており、組織内活動が主体であったが、技術士の資質への要求変化に伴い昭和58年、平成12年に同法の大幅改正を行い社会性の高い技術士を求めるに至っている。更に平成23年度から技術士組織が不特定多数に貢献する公益事業を一定程度活動する公益法人化に伴い、活動も組織外に向けた活動が出て来ていて、産学官との交流や最近では裁判所との協力協定に及んでいる。
 こうした動向は、地方技術士会にも徐々に影響して来ているが、その参画の切り口が見い出だしにくく、また、多くのエネルギーを要することから取組は簡単でない状況にある。
 地域の課題解決では、住民ニーズの多様化や生活様式の変化などもあって選択肢が複雑化し、従来の課題解決担当部門だけでの対応では困難性が高い内容が増加している。このため、関連他者間での協働作業での対応が必要になっている。こうした従来とは異なって来ている課題解決に対応する方向性を、「イノベーションによる対応」として捉えるようになって来ていると思える。
 内閣府の「科学技術イノベ-ション総合戦略2015」の中の「地方創生の科学技術イノベーション」には、人材と技術を流動化させる仕組み作りなどを進めると共に地域特性を踏まえたビジョンを示しつつ、大学・研究機関・企業が集約したイノベーション創出の「場」を構築する。また、地域のイノベーション人材の育成と活用による地方創生の推進として大学・研究機関・企業等との連携により取組むとしている。担当は文部科学省である。
 地方創生の取組の困難さは、過去の地方再生地域活性化で充分すぎるほど認識している所ですが、地方においては、住民ニーズの多様性と地域経済システムの現状とのギャップがあると感じている。
 そうした中で、技術士に何ができるかは、施策課題の多くで主体者ではないが、しかし、当然に無関係ではない。例えば、人口問題であるが、複雑で原因だらけである。ただ、単純化すると「雇用」が大きい。就労者人口の中核である若者が居なくなると子供も一緒に居なくなる。「技術士」の立ち位置を雇用面からの係わりから見れば、人材育成や就労の場の提供、何よりイノベーションの発信者に成り得ることが小さくないと考える。
このように地方の課題の多くで施策課題の主体者では無いものの、参画することで技術士の地域課題に対する知見は、解決への選択において重要な方向性を与える能力を有すると確信するところであり、期待されるべき存在に思える。今回の取組もその延長線上にある技術士の試みである。
 
6 おわりに
 「最も強い者・賢い者が生き残るのではなく、変化する者が生き残る」ダーウインであるが、人にも地域にも共有する。
 少子高齢化の進む中で私達の故郷、今住んでいる場所を如何に楽しく住み良い所にして行けるかが、住民の願いであって、同時に住民個々が自ら何が出来るかということでもあると考える。
  
  
           
              北前船  三上 俊孝 画
  
【参考文献】
   (参1)まち・地域再生への挑戦     佐川 嘉久 著  同友館
 (参2)地域を活性化するマネジメント  中根 雅夫 著  同友館
 (参5)成功する地域資源活用ビジネ


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