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Activity introduction

活動紹介

活動紹介

第2回継続研鑽研修会

日時:令和2116日(金)
場所:八戸工業大学 土木棟
参加者:46
講演テーマ
Ⅰ.山岳トンネルの最前線 鹿島建設(東北支店 土木部工事部長 西川幸一氏
Ⅱ.ジオセル工法について 八戸工業大学教授 金子賢治氏

.山岳トンネルの最前線/鹿島建設(東北支店 土木部工事部長 西川幸一氏
 
 
日本では、1763年に禅海和尚が九州大分県耶馬渓谷に現存する青の洞門120mのトンネルで21年かけて人力で掘ったトンネルが最初とされている。トンネルは位置や場所による分類、使用目的による分類があるが施工方法による分類では(1)山岳トンネル工法(一般的にNATM工法、従来は矢板工法など)(2)開削トンネル工法(3)シールドトンネル工法(4)沈埋トンネル工法に分類される。主に山岳部におけるトンネル工法のひとつであるNATM工法は、掘削した部分を素早く吹付コンクリートで固め、ロックボルトを岩盤に打ち込むことにより、地山自体の保持力を利用してトンネルを保持する工法で、発破掘削と機械掘削がある。機械化された部分が多く、汎用性が高く、大断面のトンネルや断面変化にも対応できる等の利点がある。一方、吹付コンクリートやロックボルト打設のために専用の機器が必要になり、これを運用するための設備が大がかりになりがちな短所がある。NATM工法のサイクルは①切羽を発破もしくは機械で掘削②ずりの排出③コンクリートの一次吹付け④支保工、金網の取付け⑤コンクリートの二次吹付け⑥ロックボルトの打設となっており、切羽の地山の観測及び評価が最も重要な作業である。震災復興支援道路である宮古盛岡横断道路新区界トンネルでは、(1)長孔発破(2)一本のトンネルを4切羽にて掘削(3)スウェーデンから持ってきたフルオートコンピュータージャンボの使用(4)地山評価をロックボルト施工時や先行ボーリングより統計学的解析を使用して予測を実施(5)2つの覆工コンクリート型枠により養生を長く施工(TAF工法)(6)ロックボルト引き抜き機器を新たに開発し軽量化する等して工期の短縮を図った。
今後、(1)より精度の高い地山評価の予測方法の開発、(2)覆工コンクリートのセントルの共有から二次製品の使用(3)トンネルの側面にある箱抜きが無くなる設備関係の小型化(4)無人化施工(5)現場混合爆薬の使用ができるような法改正等が望まれる。

西川幸一氏講演状況

 Ⅱ.ジオセル工法について/八戸工業大学教授 金子賢治氏
 
八戸工業大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻地盤工学研究室では2004年に日本では先駆的にジオセル工法に関する研究を始めた。ジオセル工法は、耐久性に優れた高密度ポリエチレン製のハニカム状の連続セル中に、任意の地盤材料を充填し立体ハニカム構造として地盤構造物を補強する工法であり、のり面保護・ジオセル補強土壁工法(擁壁)・河川護岸・路盤や支持力補強などの種々の用途で利用することができる汎用性の高い工法である。人力での施工も可能な容易さ、フレキシブルな点等が特徴で、矮小な場所や複雑な形状の場所にも利用可能である。最近では八戸久慈自動車道にも用いられるなど、施工実績を増やしている様である。ジオセルには、地盤を補強・保護するための種々の用途があるので、今後も継続的な研究を実施していく予定である。

金子賢治氏講演状況