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Activity introduction

活動紹介

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第2回継続研鑽研修会

日時:令和3年11月27日(土)
場所:八戸工業大学土木棟ITルーム(八戸市)
参加者:25名
講演テーマ:
Ⅰ.「八戸工大が地域住民とおこなうSDGsの取組み‐しまもりSDGs実践プロジェクトの紹介-」
講師:八戸工業大学教授 星野 保氏
Ⅱ.「SDGs達成のために再生エネルギーにできること」
講師:八戸工業大学講師 花田 一磨氏

Ⅰ.「八戸工大が地域住民とおこなうSDGsの取組み‐しまもりSDGs実践プロジェクトの紹介-」
講師:講師:八戸工業大学教授 星野 保氏


SDGsとは、2015年の国連サミットで採択され、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標である。この目標は、誰ひとり取り残さないことを目指し、先進国と途上国が一丸となって達成すべきものである。
SDGsについて八戸工業大学を含む3大学でアンケート調査を実施したところ、興味があると答えた教職員は4割、学生は7 %であり、大半が他人事として捉えられている。その理由は、かけ声だけで新しいと思える事柄がない、捉えどころがないといったことが挙げられている。
八戸工業大学では、2020年7月から八戸市南郷島守地区を対象にSDGs実践プロジェクトを開始した。島守地区は周囲を山で囲まれた典型的な山村であり、コンパクトにまとまり大学に近いことから対象地域として選定された。実施しているプロジェクトは、①島守で探る八戸の電気のルーツ(水力発電)とスマートコミュニティモデルの構築、②しまもり持続可能な水道システム(分散型小規模給水装置)の創造、③休耕田を活用したバイオエタノール燃料の作成(間伐材利用)とその活用、④しまもりの生物多様性をモニターしよう!、⑤持続可能な島守地域活性化に向けた土質調査及び基礎的研究、⑥小さな国「しまもり」の外交政策プロジェクト、⑦「島守弁ミニ辞典」を利用した島守地区の伝統・文化保存と継承に関する研究が挙げられる。
 
このように個々の研究課題を組織がSDGsを切り口に束ねることでSDGsの取組みとなり、地域や組織の過去から現在にかけての問題解決、特に問題を次世代に先送りしないための取組みならばSDGsとなる。また、大学では、このプロジェクトの成果をシーズとして、企業や行政、地域住民が参加する様々な取組みに発展させたいとのことである。
講演後、会場からは、島守地区の住民のSDGsに関するプロジェクトの理解について質問があり、数十名の理解のあるグループはいるが、一方で別の地域のグループにはあまり理解が浸透していない。すぐに説明したいところだが、農業等の繁忙期を避ける必要があることやIT機器を上手く使いこなせないこともあり、時間をかけて対面で説明していくことが重要であると認識している旨の回答があった。
また、別な質問として、八戸工業大学ではSDGsの取組みを多様な研究を大学が束ねることで進めているが、日本技術士会東北本部青森県支部においても多様な分野の技術士がいるため、SDGsの取組みを進めるための助言について質問があり、SDGsの17の目標を埋めることにこだわるのではなく、できることからやっていくことが大事である旨の回答があった。

星野 保氏 講演状況

Ⅱ.「SDGs達成のために再生エネルギーにできること」
講師:八戸工業大学講師 花田 一磨氏


SDGsには、17の目標と、それぞれの目標に対して具体的な課題の達成を示すターゲット及びこれら課題の達成を実現するための手段や措置を示すターゲットを合わせた169のターゲットがある。本講演では、これらの中から再生可能エネルギーができることについて事例紹介があった。
再生可能エネルギーの取組みについては目標7の「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」が最も関連しているが、それ以外の目標やターゲットにも関連がある。
 
目標1の「貧困に終止符を打つ」では、サハラソーラーブリーダー計画が挙げられる。これは弘前大学も参加している計画で、砂漠から原料となるSiを抽出して太陽電池を生産し、太陽光発電で得られた電力を他の国々に供給するものである。  
目標12の「持続可能な消費と生産のパターンの確保」では、使用済太陽電池パネルを診断・選別してリユースやリサイクルに取り組む「三沢市ソーラーシステムメンテナンス事業協同組合」が挙げられる。
目標14の「海洋と海洋資源の持続可能な開発」では、岩手県洋野町での洋上風力発電と漁業協調に関する調査が挙げられる。
 
最後に、再生可能エネルギーに限定しなくても青森県にある良いものを活用してSDGsの解決に取り組むのであれば良く、また、地域を対象としたローカルSDGsにこだわるのではなく、グローバルなSDGsの課題も解決できれば良いとのことである。
 
講演後、会場からは、再生可能エネルギーを普及させていく際のトレードオフの面について質問があり、太陽電池パネルの杜撰な施工による自然災害発生の問題や、小規模の風力発電設備が民家近くに設置されていることによる騒音、安全性の問題が挙げられること等の回答があった。

花田 一磨氏 講演状況