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Activity introduction

活動紹介

活動紹介

青森県支部現場見学会

日時:2025年10月1日(水)
場所:弘前市民会館 中会議室外(弘前市)
参加者:16名
Ⅰ座学:弘前公園の日本一のサクラの歴史と「令和の剪定」ほかサクラの管理について
講師:丸居 和(なぎ)氏(弘前市都市整備部公園緑地課 樹木医・主査・桜守)
Ⅱ実地研修:施肥体験
・市民広場にあるコブシ3本について、ソメイヨシノと同じ施肥作業を実施する。
・実施方法/3グループ(グループA~C)編成により1本のコブシにつき、それぞれ3班に分かれ、3本のコブシで全員が全工程を体験する。

Ⅰ座学


(1) 弘前公園の沿革
・弘前公園は弘前城跡を公園として整備された。
・築城時の形態がほぼ残っている城跡として全国的に
も貴重な城である。
・49.2ha の公園全域が国の史跡に指定されるとともに、天守をはじめ9 棟の建造物が重要文化財に指定されている。

弘前城天守(弘前市公園緑地課提供)
(2)桜の歴史
弘前公園に桜が植えられたのは1715 年に弘前藩士が京都から25本のカスミザクラの苗木を持ち帰り、城内に植えたのが始まりとされている。その後、明治15 年には旧藩士がソメイヨシノを1,000 本植栽。このうちの1 本は現在も残っており、「弘前公園最長寿のソメイヨシノ」として青森県天然記念物に指定されている。また、明治、大正期に寄付などで数多く植えられており、昭和31年の寄付により、現在のように公園全体が桜で埋めつくされた。通常桜の寿命は60~80年と言われているが、現在、弘前公園内には樹齢100年を超える桜は400本で、その中の最長は144年と桜の木の常識を覆すような長寿を維持している。なお、最長の桜は、県の天然記念物に指定されている。
弘前公園最長寿のソメイヨシノ(弘前市公園緑地課提供)
(3)桜管理の歴史
弘前公園の桜の管理は、昭和27 年に公園管理事務所が設置され、昭和30年代から本格的に始まった。この頃、明治期に植えられたソメイヨシノは樹齢60 年となっており樹勢の回復が課題となっていた。この課題克服のため、当時の所長がリンゴの剪定方法を参考にした桜の剪定を考案した。
昭和50年代には、剪定作業に加え施肥作業、薬剤散布を継続的に実施するようになり、管理を体系化し、科学的な根拠に基づいた桜の管理が実施されるようになった。
その後、平成16年度からは樹木医の資格を持つ職員を市職員として採用し、樹木医を中心に桜の管理体制を整えた。平成26年度からは樹木医資格を持つ職員を3 人に増やし、現場職員等を含む45人で「チーム桜守」を結成し現在に至っている。現在、チームは管理業務に加えて、弘前公園の桜管理技術を次の世代に伝える技術の伝承活動にも力を入れている。
現在、弘前市都市整備部公園緑地課には、3人の樹木医、7名の技術職員、35名の技能職員の体制で公園内の樹木の管理を行っている。
 
(4)「弘前方式」の導入と桜の管理
弘前公園の桜の管理は、全国的にも「弘前方式」として知られている。この方式は、リンゴの栽培方法を参考にしたこの管理方法が、全国的にも珍しかったことから、「弘前方式」と呼ばれるようになった。近年では、「弘前方式」に加え、樹勢回復を目的とした土壌改良や桜の花芽を食べる野鳥「ウソ」の追い払いなども併用した桜の管理を行っている。
 
(5)「弘前方式」の剪定作業

剪定は主に冬(2~3月)に行っている。剪定の目的は主に、次の4 つである。
(1)来園者の安全確保
(2)病虫害の発生や拡大の防止
(3)枝の更新および若返りを図ること
(4)樹形や景観を保つこと
樹木は1 本1 本状態が異なるため、どの枝をどの位置から切るか、または残すかについては、専門知識や経験に基づいて行っている。例えば、主枝が上へ延びることで、オーキシンが生成され、脇枝の成長を抑える。この作用を利用して、主枝を伐採しオーキシンを抑制し、若くて元気のある枝を成長させるようにするなどは経験に基づいて発案されたものである。また、樹高を低く抑えることによって、下枝が充実して目の前で花を楽しむことができ、見る人を楽しませることもできる。

剪定作業(弘前市公園緑地課提供)

(6)施肥作業について
桜の施肥は、強剪定に耐えうる樹勢を維持するために重要な作業である。弘前公園では、花後に施肥を実施しており、現在は樹冠下全体にツボ穴を1 本あたり概ね30 箇所程度あける。そこに、肥料として有機入り普通化成肥料と緩効性固形肥料を施している。
 
(7)薬剤散布による病害虫対策
桜は病虫害に弱い植物であるため、薬剤散布によって防除している。3 月にはカイガラムシ対策等を、また6 月から8 月にはケムシ、アブラムシ、ハダニ対策として薬剤散布を実施している。いずれも適期での実施が重要となる。

Ⅱ:実地研修


市民広場にあるコブシ3本について、ソメイヨシノと同じ施肥作業を実地研修として実施した。
 
庭木を植えている家庭では、たいていの場合木を植えたら後はそのままにしていることがほとんど思われる。今回の施肥作業を通じて、庭に木を植えた後のケアとしての施肥の重要性に目から鱗が落ちる思いであった。

おわりに


日本で唯一無二の桜の剪定技術である「弘前方式」を確立した桜守たち。「桜切るバカ、梅切らぬバカ」と桜の剪定はタブーとされていた固定観念を突き破り、「弘前方式」を確立したその背景にあるのは、弘前の桜を次の世代に安全、確実に引き継ごうという桜守たちの「安全文化」といえよう。今回の現場見学会では、防災・減災に関わる「安全文化」とは違った分野での「安全文化」もあるということを知り、理解を深めるまたとない機会となったことを報告したい。


記事/青森県支部 CPD委員会 松橋利明