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Activity introduction

活動紹介

活動紹介

第2回継続研鑽研修会

日時:2025111日(土)
場所:八戸工業大学土木棟2階ITルーム
参加者:18
演題Ⅰ:積雪寒冷地におけるコンクリートの耐久性
講師:迫井 裕樹氏(八戸工業大学工学部工学科建築土木工学コース教授)
演題Ⅱ:デザインが誰かを傷つけるとき
講師:宮腰 直幸氏(八戸工業大学感性デザイン学部感性デザイン学科教授)
演題Ⅲ:能登半島地震の被害と液状化対策
講師:原 忠氏(高知大学教育研究部自然科学系理工学部教授)

演題Ⅰ積雪寒冷地におけるコンクリートの耐久性

 
講師:迫井 裕樹氏(八戸工業大学工学部工学科建築土木工学コース教授)

(1)凍害における劣化損傷の形態
寒冷地におけるコンクリートの凍害の形態には主に3つが考えられている(図1)
・内部劣化(ひび割れ)
・表層剥離(スケーリング)
・ポップアウト(表層部にある粗骨材の崩壊)
このうち、内部劣化はAE材(空気連行剤)の開発・普及により減少している。また、ポップアウトも、低品質骨材の使用制限により抑制が可能となっている。しかしながら、表層剥離については、スパイクタイヤの規制による凍結防止剤散布に伴い顕在化した。

図.1当該による劣化損傷の形態

 
(2)凍害劣化の代表的なメカニズム
次の4つが考えられているが、いずれも凍結防止剤による表層剥離に関係している。
・水圧説(氷晶成長に伴う体積膨張(9%)による膨張圧+周囲の未凍結水の押出による水圧)
・浸透圧説(氷晶形成による周囲の未凍結水のアルカリ濃度の増加により、さらに周辺の未凍結水を氷晶に向かわせる浸透圧)
・層間圧説(コンクリート中にCl-濃度(塩化物イオン濃度)が生じている場合、Cl-濃度による氷点降下作用により深さ方向に凍結層と未凍結層が生じ、時間遅れで未凍結層が凍結する膨張圧。(
図2)

図.2凍結劣化のメカニズム-層間圧設-

 
・グルースポール説(凍結防止剤を使用する場合、表面の氷晶とコンクリートとの間にブラインポケット[高濃度の未凍結水が存在する空間]ができ、温度降下の過程で、表面部の氷晶と表層コンクリート間の熱収縮差に起因した応力が発生し、コンクリート表面に作用して水平ひび割れを発生・拡大。(図3)

図.3凍結劣化のメカニズム-グルースポール設-

 
(3)凍結防止剤によるコンクリートの耐久性の影響
既往研究により、動弾性係数の低下による内部劣化やスケーリング量増大による表層劣化が報告されているが、八工大の実験結果により、気温の変化による凍結融解の繰り返しにより、Cl-浸透が促進され、性能の早期低下が懸念されることが明らかになった。
(4)表層品質と耐久性
同一コンクリートを用いた場合であっても、部材厚による表層品質が異なり、部材厚が大きくなるとブリーディング水(浮き水)の影響により、スケーリング抵抗性が低くなることが明らかになった。また、表面含浸材による表面処理は、スケーリング抵抗性や塩分浸透抵抗性の向上に寄与することが明らかになった。

演題Ⅱ:デザインが誰かを傷つけるとき

講師:宮腰 直幸氏(八戸工業大学感性デザイン学部感性デザイン学科教授)

デザインは、道具と人をつなぐインターフェイスであるが、十分な役割を担っていないときに事故が発生する。
(1)セラック 25医療事故
セラック 25は、コンピュータ制御の放射線治療機器で、プログラムに誤りがあり、患者に通常の数百倍の放射線量を浴びせ、少なくとも5人が死亡した。この原因は、入力画面が不親切で、かつ入力しても現在の状態が表示されなかったこと、またエラー表示がコード番号で医師は対処法が分からなかったことである。
(2)エールアンテール 148便墜落事故
1992120日にフランス東部で発生した航空機事故で、乗員乗客 96名のうち、 87名が犠牲となった。事故の原因は、パイロットが降下率( ft/min)を入力する際、誤ってノット( kt、航空機速度)と認識し、通常の 10倍近い急降下率を設定したことである。
(3)フォード・ピント
フォード・ピントは 1970年代にフォードが短期間で開発したコンパクトカーである。この車の最大の欠陥は、燃料タンクの構造的な配置にあり、後部から追突された際、容易に破損しガソリンが漏出・引火して火災を引き起こす危険があった。欠陥を会社は認識していたにも関わらず、リコールによる改修費用と事故による人身傷害の賠償費用を比較し、欠陥を放置した。
(4)スリーマイル島原子力発電所事故( TMI事故)
TMI事故は 1979年にスリーマイル島原発2号機( PWR)で発生した重大事故である。加圧器逃し弁が固着し開状態により冷却水が流出し続けたにもかかわらず、水位計が実際の水位を表示しておらず、運転員が当該弁を閉じていると誤認し、緊急炉心冷却装置( ECCS)を手動で停止させ、メルトダウンに至った。
(5)行為の7段階理論

図.4行為の7段理論

 
D.A.ノーマンの提唱する7段階理論は、行為の前には状況の認知と判断、判断に基づく計画がある(図4)。デザインは状況の認知において重要な役割を果たすが、このデザインが適切でないと誤った判断・行為が発生する。

演題Ⅲ:能登半島地震の被害と液状化対策

原 忠氏(高知大学教育研究部自然科学系理工学部教授)

(1)頻発する自然災害
1960年以降、11,000件を超える災害が世界で発生しているが、気象災害(洪水・豪雨等)が発生数の7割を占めている。地震災害は発生頻度が少ないが、ひとたび発生するとその影響は大きい。特に100年周期で発生する海溝型地震の影響が大きい。
(2)能登半島地震で被災した奥能登地域の実態
2024年1月1日の能登半島地震は揺れ、津波、火災、液状化、断層隆起が複合的に発生し、奥能登地域に甚大な被害を及ぼした(図5)。東日本大震災と異なり、半島特有の影響やインフラの壊滅的な被害により、被災から長期間が経った今でも復旧が十分に進んでいない。限られた自治機能、限定的な公共インフラに頼る生活から、域外への人口流出が加速し、まちの復興が見通せないでいる。

図.5 奥能登地域の被害の代表例

 
(3)巨大地震への備え
南海トラフ巨大地震の被害想定は約292兆円にのぼり、東日本大震災の直接の被害額16~26兆円を大きく上回る。巨大地震の対策は、インフラの耐震化のほか、液状化への対応、事前復興計画など、ハード・ソフト両面の事前対策が必要となる。
(4)液状化対策の効果と丸太を用いた新技術
能登半島地震による液状化の被害は広範囲にわたり、また復旧するには工法の選定、費用負担、住民合意など様々な課題により時間がかかる。このため、事前対策として、丸太を地中に打設し地盤を改良する工法が提案されている。土中や水中に埋設した木材は腐朽しないという実証結果が得られているが、社会的認知度が低く、利用が進んでいないのが現状である。青森県では八戸港館鼻岸壁の液状化対策工事が全国に先駆けて行われた。

おわりに


安全文化に関連した八工大セミナーで演題1では専門的な質疑応答が活発に行われ、演題Ⅱでは見過ごされがちなデザインの役割について考えさせられた。演題Ⅲでは講師の被災現場の調査を踏まえた熱い講義が行われ、見過ごされがちな液状化対策が急務であると感じた。


記事/青森県支部 CPD委員会 鈴木将文